2ペンスの希望

映画言論活動中です

画面の大きさ

誘われて写真展を見てきた。
大阪中之島国立国際美術館アンドレアス・グルスキー展。
絵や写真を見るのは嫌いではない。
色々面白かったが、一番印象的だったのは、写真の大きさだった。一枚一枚の写真がハンパなく大きいのだ。

例えば、「99セント」と題されたこの写真は、高さ2.07m 幅3.25mの大画面。
LA郊外のショップ(日本の百均みたいなもん?)の店内を広角レンズで撮り、デジタル加工したもの。有無を言わせぬ迫力で迫ってくる。会場で近づいて見ると、細部までくっきり。奥の壁に貼られた「99Thanks!」「99ONLY」はもとより棚に並んだ商品のラベルまで読める。映画のモッブシーンさながらだ。
もう一枚。

カミオカンデ」高さ2.28m、幅3.67mの大画面を思い浮かべてみてほしい。
岐阜県神岡鉱山の地下1,000メートルにあるニュートリノ検出装置スーパーカミオカンデの内部。5万トンの超純水を蓄えるタンクの内には、光電子増倍管が規則正しく並ぶ。右下にデジタル処理によって加えられた作業員のゴムボート二艘が見えるだろうか。

映画もモニターで観るのと大スクリーンで見るのでは印象も体験も違う。
最近の若い人は、YouTube や スマホのモニター画面で長編映画を見ているらしいが、モッブシーンなんてどうするのだろう。ゴミみたいな小さなのがゴソゴソうごめいているようにしか見えないだろうに。人間の息遣いや熱なんてとても伝わらないのでは‥と心配する。圧倒的なボリュームが語りかけてくる強さを体感したことなどきっと無いのだろう。大きいことはすごいことなのだ。そういえば、大昔「大きいことはいいことだ」って歌うコマーシャルがあったっけ。もう誰も知らないか?