2ペンスの希望

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風前の灯 前編

気勢のあがらない、景気の悪い話ばかり続くが、ご容赦。
「風前の灯」という言葉がある。
「風の吹くところにある灯。危険が迫っていて今にも滅びそうなことのたとえ。」
日本の映画は、いまや「風前の灯」だ。こう書けば直ぐにでも反論が飛んでくるだろう。何云ってるの、ここ数年はずっと邦高洋低、日本映画は元気じゃないか。製作本数だってうなぎのぼり。若手の監督さんも続々デビューしてる。前途洋々とまでは云わないが、隆盛。‥‥。そうおっしゃる御方には何も申し上げることはない。
「風前の灯」というのは、狭いながらも四十年あまり映画の世界をごそごそ歩いてきた一人の人間の述懐、個人的な見解に過ぎない。
で、今日問題にしたいのは、「衰退」ではない。「風」が吹かないことの方だ。
映画業界全体が萎縮して誰も風を起こさないようにしているように見えて仕方がない。
風さえ吹かなければ、灯が消えることはない。心配しなくても大丈夫。心配する必要もない。作る業界も見せる業界も見る業界も業界全体がそんなふうな先送りをそれぞれに繰り返しているように思えるのだが‥。
本当にそうか。風が吹かなくとも、灯の容量=力量が尽きれば、灯は消える。
杞憂なら佳いのだが‥。この項続く。