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福井安紀『職業は専業画家』

今日は備忘録。福井安紀さんという1970年生まれの「土と石で板絵を描く」専業画家の本を読んだ。

職業は専業画家』【2021年6月17日 誠文堂新光社 刊】

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どの世界でもそれだけでメシを喰って生活していくのは容易じゃない。まして絵画の世界と映画の世界では、全く異なる。業界の構造も事情も違う。比較も難しく参考になることも多くはないだろう。それでも、映画を目指す若い衆は一度手に取ってみても良い本だ。メジャーになること・有名になることとメシを喰っていくことが違うことだと気付くちょっとしたヒントにはなるかもしれない。

映画の世界でも、陽の当たるメジャーな世界とは別の道を歩んでたつきを得ている例はある。管理人が知っている例でいえば、劇場公開とは別のホール上映などで全国行脚してヒットさせた松井久子監督の『折り梅』2002や古くは竹本幸之祐『てんびんの詩』三部作1988などもある。現役では鎌仲ひとみさんのぶんぶんフィルムズのようないき方もある。(おススメはしないが)

福井本「売れっ子地下アイドルを参考にする」のページを貼ってみる。

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いずれにしろ、腕を磨いて技量を身に着けること怠っては何も始まらないが、「情念・情熱と現実のすり合わせ」だという福井さんの率直な述懐(嘆息?)は身に沁みる。