2ペンスの希望

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映像が映画となるふしぎな瞬間

言うまでもないが、映像と映画は違う。言語と文学が違うのと同じことだ。
数日前から中村明さんの『日本の作家 名表現辞典』【岩波書店2014年11月 刊】を
パラパラ眺めている。お見事! 中村明さんは「文学を言語として読み味わう文体論の世界に分け入り、その道ひとすじに歩いて」きた国語学者だ。 「はじめに」にこうある。
文学と言語学の架け橋とされるこの文体論は、文系の頭で心に描く文章の美を、理系の頭で表現の言語的な在り方として解き明かす学問だと言えないことはない。(中略)本書の目的は、そういう名表現の鑑賞のさなかで、ことばが文学となるふしぎな瞬間に立ち会うことにある。
映像が映画になる玄妙こそ命だ。
それさえあれば、思想も政治も、題材も論理も後景に退く。