2ペンスの希望

映画言論活動中です

こんな人がこんな映画を

f:id:kobe-yama:20210212102943j:plain

意外な人が意外な映画を好きだと言ってるのを知るとなんだか嬉しい。つとに映画好きで知られる落合博満は、著書『戦士の休息』(©ロジェ・バディム⁈)で、好きな映画は「マイ・フェア・レディ」「ロミオとジュリエット」「黒部の太陽」「男はつらいよ」シリーズなどなど‥と書いている。

とっても古い話なので今はどうだか知らないが、長谷川和彦は『エデンの東』が忘れられないと述べていた。「末っ子の次男坊」という主人公J.ディーンが自らに重なるゆえなのか、成程 彼の映画『青春の殺人者』ともつながるよな、納得した。映画少年ではなかった周防正行が見ていたのは、東宝若大将シリーズと怪獣映画、関根恵子に惹かれたと語っていた。徹底的に取材して映画に臨む周防監督の根っ子にはこの体験があるのだと思う。作家性より娯楽性を求める姿勢は買いだ。(最近、空振り・凡打が多いのはちょっぴり残念。)

 

昭和天皇裕仁とその皇后は『男の花道』がいたくお気に入りで、日をおかず二度ご覧になったと『昭和天皇実録』に載っている。別の所で『男はつらいよ』DVDを全巻持っているとの記事も見た記憶がある。

上皇明仁は、『ローマの休日上皇后美智子は『哀愁』、今上天皇徳仁は『ヴェニスに死す』‥これは故淀川長治さんのインタビューに出てくる。天皇ご一家は皆さん映画好きのようだ。

もうひとつ、余談。というかちょっと引っ掛かったことを忘れぬように書いておく。

さいころ映画がほんとうに好きだったという時期を過ごしてきた人か、そうでない人かは 分かる。何だかわからないけど面白いと思った子供の時期に映画に淫したことがある人と、ちょっと自覚がでてきてから学ぶように観るようになった人とは決定的に違う沢木耕太郎との対談で淀川長治さんがそう語っっていた、というエピソードを書いている。沢木耕太郎セッションズⅡ 青春の言葉たち「周防正行 みんなあとからついてくる」2020年3月 岩波書店 刊】

とするなら、「娯楽の王様」の座から落ち、数あるエンタメ・娯楽・芸術芸能の端っこにかろうじて引っ掛かってるだけの今の映画の失地回復は望めない。絶望的。なら、新たな道づくりを進めねば!