2ペンスの希望

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金井 勝

金井勝という映画人がいた。イヤ御年86歳で今も御存命なので、いるとすべきだろう。昔々『無人列島』(1969) 『GOOD-BYE』(1971) 『王国』(1973) という《微笑(わら)う銀河系・三部作》を自力で作った。1981年にはれんが書房新社から『微笑(わら)う銀河系』を出版した。

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そのトップページの写真。自序には「得意げなポーズをとってエクレールを持つ青年」とある。エネルギッシュでカッコよくて憧れた先達の一人だった。ニ十歳で自殺した高野悦子(立命館大学生)の日記『ニ十歳の原点』には「‥‥‥《無人列島》という映画をみました。六十分もので淡々と描かれていたけれど内実のあるものでした。人間における相互の関係(愛においても闘争においても)ではないかと思いました。」とある。

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金井さんは「《微笑(わら)う銀河系・三部作》の『無人列島』は250万円『GOOD-BYE』130万円『王国』240万円の予算で作った」と書いている。当時の大卒初任給が3.5万円~4万円あたり、1966年7円だった葉書代が1972年には10円になった時代だといえば、おおよその感覚が分かるだろう。自主制作とはいえ、フィルムの時代の映画制作は結構大変だったのだ。

金井さんのHP[映像万華 Eizou Banka ]には《自作解題》ページがある。肉声が今も聞こえる。⇒ 007-test