2ペンスの希望

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文体の深度

映画はテーマでもジャンルでもない。目の付け所、着眼点・視点でもない。もちろん隙間狙い・ニッチ勝負でもない。文体・語り口の深度というか強度が一番大事だ。

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とどのつまり、新しい映画とは、新しい人間をどんなふうにつくりだして見せてくれるか、だ。現実社会の中には間違いなくいるのに、物語りの世界ではこれまでお目にかかったことのない人間、はじめて見る人にどれだけ出会えるか、これが勝負どころなのだ。なにも全人的なものや御大層な理念・世界観を求めてるんじゃない。ちょっとしたしぐさ、何でもない表情、ささやかなリアクション、そんな些細なことで垣間見えてくる新しい世界や新しい人間に出会えれば嬉しい。喜ばしい。いそいそと新作に出掛けるのは新しい人に出会うためだ。それ以外じゃない。