2ペンスの希望

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保証なし 権利なし

大阪の環状線を利用している人はご存知だろうが、新今宮駅のプラットホームから、「保証なし 権利なし」という大看板が見える。見るたびにドキリとさせられるが、日払いアパート(昔で云えば木賃宿・ドヤのこと)の入居募集広告だ。つまり保証人も権利金も何もなしで即入居できますよ、というアピールだ。保証はしませんよ、権利もありませんよ、という意味ではない。
保証も権利もありませんよ、ということなら、日本の映画界の方がひどい。製作の現場も、各種映画系大学・専門学校も、入れるだけ入れておいて、あとは知らん振り。もっとも騙されて入る若者も問題だが、罪が重いのは、甘言を弄する大人の方だろう。老舗の映画雑誌の広告頁には、学校案内・学生募集が溢れている。十年後二十年後、どうなっているのだろうか。日本の映画も、映画学校も、映画雑誌も。誰か大人が本当のことを言わねばならない。学校を出ても保証はないよ、と。
もっとも、今の若者はそんなことは承知の上で、それでも映画をやってみたい、と意気軒昂なのかもしれない。モラトリアム・執行猶予で、とりあえず大学へ専門学校へ、という輩は放っておくとして、こうした確信犯的に映画を学び、身につけようという若い人が出てくることは心強い限りだ。先達として映画で育った大人はすべからく彼らのためにできることが何かないか、考えてみて欲しい。もちろん拙ブログ管理人もその片棒が担げれば!と願ってる。