2ペンスの希望

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足尾74夏

四十年来の友人山口豊寧さんが、大昔に作った8mm映画を去年リニューアルしてDVDを作った。『足尾74夏』。観た。面白かった。推薦点は二つ。
「画があること」「映画を見ながら、多様な対話性が開かれていること」
折角映画なのだから「画」が見たいと思う。なのに、昨今「画」が無い映画が多すぎる。テーマ・主題はご立派なのに。残念。山口さんの映画は違う。この画が撮りたかったのだろうなぁと思わせる画がある。映画を観た後、彼とやり取りしたメールの一部を挙げてみる。
山口)最近の映画は記録もの、劇ものにかかわらず説明的ですね。あの「足尾74夏」も“研究者”の多くの反応は“情報(知識)としての記録“を求める気持ちが強くでています。そういうのは時代の病とぼくは思ってしまいます。情報や知識をたくさん得ることである安心にたどり着けるというのかなあ…。つくる側でも“間”→映った画面と観る人にじっと向き合わせることが心もとない(怖い)。
ここ四、五年、記録映画が映画館で上映されるケースが格段に増えた。言葉は悪いが、猫も杓子も、だ。そんな中『足尾74夏』は、劇場公開に先立って、全国書店でのDVD販売を選択した。
そこにも「時代の戦略性」を感じる。