2ペンスの希望

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スタッフタイトル

『日本短編映像史―文化映画・教育映画・産業映画―』を読み続けている。
吉野馨冶さんのこんな言葉が目に付いた。吉野さんは、1950年岩波映製作所創業メンバーの一人だ。
映画はひとりで作れるものではありません。企業やそこで働くスタッフの共同作業によって、はじめて日の目をみることができるのです。岩波映画の初期にわたしは、どんないい映画ができても、タイトルにスタッフの名前を出さないことを提唱して、それを守ってまいりました。最近は、この約束も次第にくずれてまいりましたが、映画製作の功績を個人で独占することは、まったくおかしなことだと考えます。
          【「映画製作への悩み」:雑誌「視聴覚教育」1971年10月号掲載】
記述はさらに、‥責任を明らかにするために名前を出すのが義務だという議論もあったこと、スタッフタイトルを出す人と出さない人がいた、‥と続く。
どちらもありだと思う。ただ、他の表現物以上に、映画がひとりで作れるものでなかったという歴史については、注意を払っておきたい。