2ペンスの希望

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さらばリアリズム

映画だからこそゆるされることがある。何をやってもいい。何でもありの荒唐無稽。
原子爆弾を作ろうが、大量殺人を犯そうが、それだけのことでとがめられることはない。自由自在。技法や決まりごとに縛られることもない。どんな風に作っても良い。なのに、窮屈なリアリズムに囚われ過ぎじゃあないだろうか。
かつてドグ・ホリディ役を演じた時、演技がリアルじゃないとの周囲の批判に答えたカーク・ダグラスの言葉を憶えている。「映画は現実じゃない。こうありたいと思う幻想を作り上げれば、それで足りる。」【早川書房1989年10月刊『カーク・ダグラス自伝くずやの息子』訳:金丸美南子】
映画は現実を再現するものじゃない。写生じゃない。実生活、実人生、実社会、実世間、常識や歴史にこだわらずともよい。奇想天外、縦横無尽。ベラボーブラボー。エグナ(エロ・グロ・ナンセンス)上等。もっとも“目を背けたくなるような”のは御免だ。“目を見張るような”のを見たい。“目を丸くする”“目を皿のようにしてみたくなる”映画に一本でも出会いたい。