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トビタの映画館

飛田東映・トビタシネマが4月1日から改装のため休館する、と大阪の友人が知らせてくれた。下記はYouTubeで見つけた動画。(途中暫く画像が途絶えるがまた復活する)

イマドキ奇特な三本立の格安映画館。プログラムが渋くてたまに出掛けていく。
飲食持ち込み自由、入替え無し、連日オールナイト、出入り自由(自己申告すれば再入場可)だ。場所柄か。シネコンとは対極、逆立ちしたって真似は出来なかろう。
但し、お世辞にもキレイとはいえない。
スクリーンはそこそこ大きいが縦長なのでいささか暗い。座席数は二館とも192席だが傷みが目立つ。ガムテープで補修していたり、底板が抜けて座れない席も少なくない。便所の匂いが漂う。それでも、ここでしかお目にかかれない映画がある。比較的新しい映画と吃驚するような旧作を組み合わせ週替わりで上映している。飛田東映の方は邦画。もちろん東映映画だけじゃない。去年は『TATOO〈刺青〉あり』『浪人街』がかかり、これも土地柄か毎週のように『寅さんシリーズ』や『健さんのヤクザ映画(網走番外地シリーズが多い)』が上映されてきた。トビタシネマの方は洋画、こちらもべらボーだ。
休館前は、3/21 〜27日『荒野の七人』『ウエストサイド物語』『エージェント・マロリー』の三本立。3/28〜3/31日までの4日間は『大脱走』『ダーティハリー 』『最強のふたり』というラインナップ。
それでもって、入場料は一般800円、学生・シニア・身障者割引500円。それだけでもすごいのに最終の一週間は、なんと入場料100円という嘘みたいな料金サービスを行うと聞いた。

あくまで「休館」であって、「閉館」ではない。けど、どこか寂しい。

【今日はもひとつオマケ】
昨日の関西の民放ラジオは桂米朝の話題でもちきりだった。なかで或る放送作家さんの言葉が印象に残った。「米朝さんの持ち味は、ウエットではなくドライにある」という指摘だった。人情噺の名作とされる米朝創作落語『一文笛』。「弟子筋や東京では人情噺として聞かせるが、米朝さんは泣かせるのではなく、さげで笑わせる〈ドライな笑いの達人〉だった。そこがスゴイ。」 同感。プロの芸には、計算高くどこか醒めた目があってしかるべきなのだ。いたく感心した。