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さらに編集の時代

さらに編集の時代について。
高瀬毅さんという方の『本の声を聴け』【文藝春秋2013年1月15日刊】を読んだ。
副題に「ブックディレクター幅允孝の仕事」とある。幅さんは選書集団BACHのリーダー。
「選書集団」とは聴きなれない言葉だが、「本棚の編集者」=人から頼まれて「本棚を編集」するプロ集団らしい。厖大な本の知識を駆使し、求めに応じてお好みの本棚を組み上げる。本の編集ではなく本棚の編集!「分類の仕方と並べ方がポイント」とのことだ。現場を見ていないので何ともいえないが、時代を感じる。蓮っ葉な云い方では「本のソムリエ」。美術館や博物館に定着したキュレーターのような存在だろう。編集・エディター・ソムリエ・キュレーター、‥‥。古典的な意味で云えば「作る」人ではなく、「選ぶ」人が、時代をリードする時代
そういえば、ファッション・アパレルの世界には「セレクトショップ」というのが人気らしい。(らしいと書くのは‥お恥ずかしい話、全く縁遠くて足を踏み入れたことが殆ど無いからだ。面目ない。)
『知恵蔵2013』の「用語解説」にはこうあった。
特定アパレルメーカーの商品を中心に品揃えする専門店とは異なり、多数の個性的なブランド、商品を経営者やショップのコンセプトに基づいて直接買い付け、販売する小売業。新進のデザイナーや、日本ではまだ知名度の低い海外ブランドの商品を積極的に取り扱う。ビームスやシップス、ユナイテッド・アローズがよく知られている。(中略)セレクトショップが注目されるようになったのは、ショップのもつ明快なコンセプトやテーマとそれを具現化するブランドや商品が、自分の個性や感性を大事にする消費者に評価されたためであり、既存の取引慣行の中でバイイング(商品調達)機能を弱体化させた専門店や百貨店との差別化に成功したからだともいえる。( 懸田豊 青山学院大学教授 )
ミニシアターというのは、映画のセレクトショップなのだろう。それにしては、認知も人気もお粗末なのが残念至極。