2ペンスの希望

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「編」

映画第三の力は、「編」。
編とは、編集のこと。
つまり、つなぎであり、構成である。モンタージュであり、運動である。
あまたある断片を自在に組み上げて、命を吹き込む作業である。
命を吹き込むとはこうだ。⇒スジに骨組みを与え、骨格だけでなく、ちゃんと筋肉をつけ、表皮を張り、誰もが見とれる(見惚れる)魅力的な肉体、血も涙もある一体に仕上げること。或いは、一本の原木から仏像を彫りだすようなもの。 腕が要る。
経験則や一応のメソッドはある。が、なに、畏れることはない。
稀代の編集マン 谷口登司夫さんはこういっている。
自分自身の体験、遊びが編集に反映する。肉眼で見えない世界や瞬間や時間を伸ばしたり縮めたりフイルムのコマを操って表現出来るのが編集の面白さだ。
空間や時間の大胆な飛躍と省略
。唯一のルールは、流れていることだろう。それが繋がっているかどうかだ。
海の向こうの編集マン ウォルター・マーチさんの言葉を借りれば、こうなる。
非連続の難しさをどうやって乗り越えるべきか 非連続性の持つ力強さをどうやって利用すべきか」【引用は、フィルムアート社『映画の瞬き 映画編集という仕事』吉田俊太郎訳から。以下同様】  こうも言う。
Most with the Least:最小で最大を得る。
作り手がやらねばならない唯一のことは、観客の想像力をかきたてることだ。
この瞬間、観客はどう考えるだろうか?何に注目して見ているだろうか?私は観客に何を考えて欲しいのか?そしてどう考えてもらわないと困るのか?そしてなによりも、どういう感情をもってもらいたいのか。
撮影現場の苦労や事情など知ったこっちゃない。
編集マンは、観客の窓口係だと心得るべし