2ペンスの希望

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黒澤デジタルアーカイブ

かつて佐賀県伊万里市黒澤明記念館サテライトスタジオがあった。
色々芳しくないことがあって本格的な建設計画が中止され閉館したことは知っていた。
ゆかりの品々をデジタルアーカイブ化するプロジェクトが進んでいることもうっすらとだが聞いていた。けど訪ねたことはなかった。先日ちょっとした用があって初めて訪問した。
その充実振りにびっくりした。
紛れもなく龍谷大学古典籍デジタルアーカイブ研究センターの労作だ。
台本全頁、書き込み、大学ノート、ロケスナップ、新聞雑誌記事、等々‥メモに至るまでが収集・分類され、自在に見られるよう装備されている。
中心メンバーの岡田至弘教授はこう語っている。
シナリオの直筆原稿なら、読めることはもちろんですが、文字を書くペン運びの勢いまで見えて、これを書かれたときの黒澤監督の様子までが想像できる、そのレベルを目指しています。また写真のように一枚一枚展示するのではなく、デジタル・ブックのようにページをめくりながら読める感じにしたいですね。絵コン テやドローイングに関しては、色をできるだけ忠実に再現することと、筆のタッチを感じることができるものにしたい。
「黒澤デジタルアーカイブ」のHPはこちら↓
http://www.afc.ryukoku.ac.jp/Komon/kurosawa/


行ってみれば分かるが、ハンパない奥行きと広がりだ。徹底した網羅性。拡張性・成長性。国内外から一日平均1万〜2万アクセスがあるというのも頷ける。
実物の博物館(リア充?)ではこうはいかない。ノートを手にとるだけでも難しそうだし、逐一読み込んでいくとなるとこれまた大変だ。
ネットでなら、何時でも何処からでも好きなだけアクセス出来る。デジタルと通信技術の真価=迫力と底力(そこぢから)を知る思いだ。
残された映画人へのデジタル遺産。 映画に注ぎ込まれたエネルギーをつぶさに感じ取ることが出来る。こぞって活用すべし。