2ペンスの希望

映画言論活動中です

郄田郁さんのファンだ。宝塚市在住の時代小説を中心に書く作家。
デビュー作から欠かさず読んできた。恐らく時代考証の専門家からみれば、言葉遣いも所作も作法も出鱈目が目につくのだろうが、なあに構やしない、2015年に作られた時代小説なのだから人生観や結婚観、価値観が現代的なのは当たり前。映画の時代劇が都合の良いところだけリアルで、あとは作り物・嘘八百なのと同じこと。断然 赦す。
脇役が善人だらけで甘くいささか出来過ぎの筋運びという感無きにしも非ずだが、どの作も女主人公のひたむきさ・ひたすら一途な生き方を描いてすがすがしく後味がよい。「みをつくし料理帖」の澪も好みだが、「出世花」の縁も捨てがたい。澪より劇しく陰影が濃い。つる家の料理人より、青泉寺の三昧聖の方に深く惹かれる。
新作の出版を心待ちしながら読む数少ない作家の一人だ。
こんなことは昨今の日本映画には望めない。出来ない相談になってしまった。寂しい。おっといけねぇ、また愚痴が出ちまった。