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『男の花道』 昭和天皇

面白いものがあるよ、と歴史好きの知人が教えてくれた。
原武史『「昭和天皇実録」を読む』【2015年9月 刊 岩波新書新赤版1561】 巻末に「太平洋戦争期における天皇の映画鑑賞一覧表」が載っている。昭和天皇が映画をよく見たことはうっすら知っていた。実録が公表された2014年9月には、日刊各紙が「映画鑑賞幅広く 街の灯 トラ・トラ・トラ!‥」(読売)とか「陛下は映画好き? 戦時下でもディズニーアニメ‥」(毎日)といった見出しで報じていたと記憶する。1931年の「モロッコ」から、戦後も「羅生門」「ローマの休日」や「警察日記」「ベン・ハー」まで、へーっと思って読んだことを思い出す。今回の岩波新書のリストには、1941年12月真珠湾攻撃から45年7月敗戦直前まで、「或る日の干潟」や「陸軍」などズラリ130本が並ぶ。前半は週一かそれ以上のハイペースだ。誰と見たかも一緒に記されている。
注目したのは、1943年2月20日の記録。皇后と『男の花道』を見ている。知る人ぞ知る原作・脚本小國英雄の代表作だ。よほど面白かったのは、二日後の22日にもう一度見ている。 わかってらっしゃる、にやりと頬が緩んだ。