2ペンスの希望

映画言論活動中です

「行うは易く、知るは難し」

映画とは、語るものではなく、言葉では説明できないものです。映画とは基本的に撮るべきものなのです。撮って、撮って、撮っていくうちに、いつの間にか撮れるようになる、そして撮れば撮るほど映画は良くなっていく、見るということも同じことです。映画を見、周囲の事物を見る。見て、見て、見続けていくうちに、視界が開けてくる。それがいわゆる鑑賞力というもので、鑑賞力が鍛えられるほど、撮る映画には深みが増す。その理屈は単純です。あなたが見る世界こそが、あなたの映画を作るものだからです。「見る」とは基本的に観察することであり、事物を理解するために方法なのです。

正直なところ私には、映画を撮ることはできても、言葉で明確にそれを説明することはできません。とりわけ若い頃は、そうだということはわかっても、なぜそうなのかはまったくわからなかった。行うことはわりあい易しくても、知ることは難しい。まさに「行うは易く、知るは難し」で、‥‥

侯孝賢の映画講義』【卓伯棠 編 秋山珠子 訳 2021.11.17. みすず書房 刊】に出てくる言葉だ。「行うは易く、知るは難し」元をたどれば、孫文王陽明の言葉「知るは難く、行うは易し」に行きあたる

f:id:kobe-yama:20220106195047j:plain