『キャメラを抱いて走れ! 撮影監督 仙元誠三』【2022.6.25. 国書刊行会 刊】を読んだ。2年ほど前に亡くなった仙元誠三(1938.07.23~2020.03.01. 享年81)キャメラマンに親子ほど若い 山本俊輔(1975.~)と佐藤洋笑(1974.~)の二人がインタビューして作った本だ。
464頁、菊判 ハードカバー 厚さ3.9cm 巻末には「撮影作品リスト」(劇映画/記録映画/Vシネ/ビデオオリジナル/連続テレビドラマ/単発テレビドラマ)「主要参考文献」「索引(人名/映画・テレビ作品題名)」まで網羅した篤実な仕立てで面白く読んだ。映画本はやっぱり現場・関係者の聞き書きが一番ワクワクする。小難しい用語が頻発する評論家・学者・研究者諸先生方の持って回った「言説」本より格段に痛快だ。
読みながら、仙元さんと同世代で もう少し前に逝った田村正毅(たむら まさき)キャメラマン(1938.01.26.~2018.05.23. 享年79)の本を思い出した。
『酔眼のまち―ゴールデン街 1968~98年』【2007.11.30. 朝日新聞社 刊】
202頁、新書判 厚さ1cm。
こちらも青山真治監督によるインタビュー本だ。巻末には「エンドロールのかわりに」と題した青山真治の文が載る。けど 索引も映画リストもない。もっとも 生前のお手軽仕様のお気楽本だから、無いものねだりをしたって始まらない。
(もう一冊 二人には『映画の授業 映画美学校の教室から』に「キャメラと監督のあいだ(たむらまさき/青山真治))」という対話本もあるようだが‥コチラは未見)
仙元 たむら ご両人がキャメラを廻した映画は二十代から何本も見て来た。
かたや、「運動神経抜群 手持ち自在 フットワークの軽やかさ信条の体育会系」キャメラマン。こなた「目が据わり腰が据わった一徹体当たり派 文系サークル」キャメラマン。ともに若い世代と組むことを厭わなかったガムシャラは似ている。野暮は承知でお二人の「この一本」を挙げるなら、
仙元さんについては、『空,見たか?』(1972 田辺泰志監督)
史的にも詩的にも私的にも忘れられない映画だ。
それにしても、映画人の訃報が続く。
2022.09.13.には JLGが‥、その二日前 2022.09.11.には アラン・タネールが逝った。JLG 享年91 タネール享年92。一方は国宝と讃えられ華やかに送られ、一方はひっそりと静かにフェードアウトした。
その無常、その無情‥‥。 もう秋か。