2ペンスの希望

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腐葉土 ☆★ 武器庫

出来損ないの新作を追いかけるのはほどほどにして、山ほどある古今東西の旧作映画に目を向けてみたらどうだろうか。もちろん、今となってはお粗末・粗雑で付き合いかねる賞味期限切れ映画もあることだろう。公開当時は人気を博したけれどメッキが剥げてチャチさが見えてしまったハリボテ映画だって少なくはなかろう。けど、世評に高い古典や名作だけに限らず、時代を超え、国を超え、世代を超えて生き続ける映画がきっとあるに違いない。先行する映画群は、これから映画に向き合おうとする人々にとってかけがえのない「栄養源」なのだ。昔と違っていつでもどこからでもアプローチできる今だからこそ、旧作にアクセスする方がいいんじゃない。ずっとそう思ってたら、最近、こんな言葉に出会った。

先行する旧作映画群は、腐葉土であり武器庫なのだ。

映画についての文章じゃない。出典は、鷲田清一さんの岩波新書『哲学の使い方』(2004.11.刊)。哲学のアカデミズムに批判的な目を向けてきた鷲田さんは、それでも「古典文献の研究」をしりぞけるのではなく、「「古典文献の研究」は「哲学的思考の腐葉土」であり、哲学的思考のための「武器庫 Arsenal」なのだ」と語っている。

いいなぁ、「完熟 腐葉土」「 基本用土 厳選素材 厳選高級」

映画的思考に入り込むための 多種 多様 多彩な「武器庫」、これまた頼もしい限り。

かのふや町映画タウンは、映画の「腐葉土」であり、「武器庫」なのだ!