2ペンスの希望

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白鳥さんの本に寄せて④

本だけでなく、川内さんは大学時代の友人・三浦大輔さんと映画も作った。

2022年 / 16:9 / DCP / 107分

映画については未見でもあり これ以上は触れない。

代わりに、ライター川内さんの言葉を少々。

普段ものを書くときのわたしは、インタビューの録音を文字に起こしたあとは、よほどじゃない限り録音を聞き返さない。しかし、映像の編集作業では、何度も同じ場面を見ていくことになる。そうしていくうとに、言葉や会話だけではなく、ちょっとした表情の変化や息継ぎの間(ま)、指先の動き、吹き抜ける風、頭上を飛ぶ鳥、紅茶の湯気まで実際にそこにあるように感じられた。それは言葉というものを、それ以上の実体を伴った別の存在にしてくれる

同じ映像なのに何回見てもまったく飽きなかった。どうしてだろう。なんというか、映像という湖で泳いでいるうちに、その水の冷たさや、湖に棲む魚や鳥、沈んでいるゴミ、アメーバや有機物などそこにあるすべてが自分の中に浸み込んでくるみたいだった。

どれも映像制作では当たり前の所作、基本の基だが、文字の世界と映像の世界の違いが浮かぶ。ことばの抽象・記号性と映像の具体・包括性。純と雑。その扱い方 距離と時間の関数の違い。

〇言葉 ≦ 映像 イマ ココ ライブ と心得たい。