2ペンスの希望

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「ドラマはあるけどチックがねえなあ」

このドラマにはドラマはあるけどチックがねえなあ」誰の言葉かって? マキノ光雄。彼がある脚本を読みながら言った言葉だそうだ。光雄は、御大マキノ省三の六男坊・華やかなりし頃の東映京都撮影所のドンである。

「? なんのこっちゃー さっぱりわからん。このおっさんあんまり頭よろしくないな」と思われそうだが‥、どうしてどうして そう捨てたもんでもなかろう。何が言いたいのかはうっすらだがじんわりと伝わってくる(ように思う)。

お話は出来てるけれど、味わいがない。パサパサで水分不足、一向に沁みてこない、そう云ってるんじゃあなかろうか。

頭や理屈で組み立てられてドラマの整合性はあってるけど、それだけじゃあ 人の胸には届かないよ、人間の心は動かせないよ、と言いたかったんだと思うのだが、どうだろうか。

頭でっかちで口ばっかり達者、腕はイマイチといった昨今の日本シナリオ作家協会の面々に訊いてみたい。