2ペンスの希望

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今昔二 ゲリラ

今は正規軍なき時代だ。わけても映画の世界はそう。つくづくそう思う。
確かに、大手メジャーと言われる三社はある。しかし、彼らに映画制作能力があるとは誰も思っちゃいない。当の彼ら自身からしてそうだろう。自前で映画を作り次世代を育てることなんかとうに放棄している。
今は昔、撮影所があった時代は去った。もはやメジャーもマイナーも無い。映画制作の現場は、どこともがゲリラ戦だ。かつては望むべくも無かった劇場公開のハードルも下がった。独立系の映画館では、学生諸君の自主制作映画でも、個人製作のドキュメンタリー映画でも比較的容易に掛かるようになっている。その意味では、門戸は広がり、参入障壁は低くなった。喜ばしい限りだが、ことはそう楽観的でもない。基準が無くなったことで、玉石混交を通り越した「液状化」が進んでいる、かつては劇場にかかるまでにふるい落とされた(であろう)出来損ないが興行に供される。映画としての質とは別に、取り上げているテーマ・題材次第で、それでも「縁者」や「信者」が集まるからやっかいだ。
基準なき時代が劣化コピーのスパイラルに堕ちていくことは何としても防ぎたい。保守反動と呼ばれようと、そう思う。