2ペンスの希望

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忘我

若い人には笑われそうだが、今でもDVDなどを家で見る時は、部屋の明かりを消して、出来るだけ暗くして見るようにしている。イマドキ流行らない。暗くして発光体であるモニターに向かうのは目にも悪い。そうとも言われる。けど、習慣ゆえ直らない。つまりは、映画館の擬似を求めているのであり、十代の頃、誰もいない昼下がりのお茶の間・その薄闇の中で毎日飽きもせず眺めてきたテレビ放映映画の再現を思っているのだろう。
以前にも書いたことだが、映画と闇は親和性が高い。
真っ暗闇の中では、自分が溶けだす。闇に包まれて、自分が見えなくなり、自他の区別がつかなくなり、忘我となる。少しでも明るいとこうはいかない。映画館に惹かれる理由の一つはコレだ。集団的忘我。けど、匿名性は担保されている。大勢の中での孤立。誰もがそれぞれに、登場人物に感情移入し、我を忘れて手に汗握る。
忘我没頭。忘我陶酔。忘我には快感・エクスタシーの匂いもまといつく。自分を消しての覗き見・盗み見。窃視・出歯亀。
知らなかったが、忘我混沌という言葉もあるらしい。「我を忘れ、物事の分別がつかなくなる」という意味だ。あまり良い意味ではない。たしかに、忘我混沌が玩物喪志となってしまってはどうかとも思うが、これも長い習慣なので、そう簡単には治りそうにない。
ミソもクソも見分けがつかなくなったのでは、ミモフタモナイ?ミグルシイ?