2ペンスの希望

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黄昏‥‥⑨

⑨は田中徳三1920(T9)年9月 生。何をおいても一番は『悪名』シリーズだろう。八尾の浅吉とモートルの貞。切れときっぷの河内弁。

けど、上野は書く。

‥‥あれは十年ぐらい前のことだったか、『悪名』シリーズを数本見直したことがある。そのとき強く思ったのは、これは「女」の映画である、ということだ。一九六〇年代に見ていたときには、そんなことを少しも思わなかっただけに、この印象は意外でもあれば、思わぬ発見をした気もして、少しばかり興奮した。

おそらく、このことには、溝口健二に鍛えられた脚本家・依田義賢のシナリオが少なからず与っているとは思う。

わたしにとっての田中徳三監督は、なによりも愛の作家であり、それも、とりわけて女の愛を描く作家であるのだ。


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そう思ってみると、ポスターや予告編からも 女の愛が匂ってくる気がしてくる。

(それにしても 今 気付いたのだが、ポスターの「脚本 依田義賢だけ明朝体になってる。他はみな強調 ゴシック体なのに なぜ? デザイナーの好み? 依田義賢の指定?)