2ペンスの希望

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育て上手

小関智弘さんの『職人学』【講談社2003年11月 刊】を読み返していて、こんな言葉に出会った。 職人は教え下手ではあるが、育て上手でもある
職人の世界では「技は見て憶えろ、盗んで習うもの」というのが通説としてある。
これを小関さんは俗説だとしりぞける。
やる気の有る無しを見抜き、育て甲斐のある奴かどうかを見極めたら、惜しみなく技を伝えてきたのが本物の職人だというのである。
椅子職人長谷川清一さんの体験談:「聞く側の熱意の問題ですね。こいつは本気だとわかれば、よく教えてくれたものね。ただ、教えてもらって楽をしようってヤツには、見て憶えろ、盗んで憶えろって、なかなか教えなかった。職人ていうのは、わたしはすごい教育者だったと思っています
もうひとつ。江戸後期の刀工の教え「無闇に伝えても、弟子の技倆がそこまで到達していない時に教えたら、かえって修業の妨げとなるものだ
小関さんは、「自分を超えるような職人を育てられなかったら、そんな職人はハンチクだ」と教わってきたそうだ。 んっ、ハンチクって何ですかって? ‥‥ 自分で調べてみ。