2ペンスの希望

映画言論活動中です

2022-01-01から1年間の記事一覧

映画『REVOLUTION+1』を巡って③

山上徹也は手製の銃で現実に向き合った。銃をキャメラに持ち変えて一本の映画が生まれた。 これまで何度も書いてきたが、キャメラを廻すことをシュート shoot と言い、撮られた画像はショット shot と言う。映画は現実を撃つ行為。 ハンドメイドの銃と手作り…

映画『REVOLUTION+1』を巡って②

朝日新聞の記事で足立正生監督はこう発言している。 「スピードが速いと言われるが、(かつての)ピンク映画はこんなものじゃない。もっと短い日数と少ない予算で撮り上げていますよ」 「いくら粘っても、自分の中にあるイメージと、撮った映像の間に誤差が…

映画『REVOLUTION+1』を巡って①

見てもいない映画のことをアレコレ書くのは、はしたないことだし、慎むべきなのは承知だが、ちょこっと書いてみたくなった。 きっかけは二つある。あの足立正生の新作だということと、尾中香尚里(57歳)というジャーナリストさんの記事を読んだことだ。 尾…

チャーリー・バワーズ

チャーリー・バワーズ CHERLEY BOWERS という人物をご存じだろうか? 当管理人は知らなかった。最近初めて知った。無声映画時代のコメディアン映画人だ。映画はまだ見ていない。けど、ネットに上がっている予告編動画がスコブル面白そうだ。唆(そそ)られる。…

心得違いはイケ(て)ません

最近読んだ週刊誌の連載記事、女性監督さんのインタビュー発言が気になった。 「小説を書くときって、文才が必要じゃないでしか。文章の美しさや語彙力が求められますけど、脚本は、それがなくとも成立する。状況説明と台詞で成り立っているものだから、難し…

ミクロ シアター

役割を終えて「ミニ シアター」が退場し、新たに全国各地に「ミクロ シアター」が誕生し勃興が始まる!そんな予感がしてならない。(ミニとも言えない座席数30~50席の映画館をこれまでマイクロシアターと呼んで採り上げてきたが、以後「ミクロ シアター」と…

さらにさらに 都市が主人公の映画

クラシックからもう一本。 Roberto Rossellini監督 1950 イングリッド・バーグマンと。 1948年 ロッセリーニ監督の『 Germania anno zero:ドイツ零年』少年映画であり、反戦映画であり、それ以上にベルリンという都市の映画でもあろう。 オープニング www.y…

さらに 都市が主人公の映画

都市が主人公の映画、古典からもセレクト。 脚本:Marguerite Duras 監督:Alain Resnais 1959『Hiroshima mon amour:二十四時間の情事』Alain Resnais&Marguerite Duras www.youtube.com

都市が主人公の映画

『 Dans la ville blanche:白い町で』(1983) を書いたら、都市を描いた映画のことを思い出した。で、今日は José Luis Guerín ホセ・ルイス・ゲリン監督の2007『En la ciudad de Sylvia :シルビアのいる街で』 www.youtube.com これまたスタティックで何と…

JLG ≦ Alain Tanner

メディアではゴダール追悼ばかりが目立つので、へそ曲がりとしては忘れぬうちにアラン・タネールを少々。 1983『 Dans la ville blanche:白い町で』 当時 元気だったシネセゾンが配給した。まずは、ものすごく説明的な予告編をどうぞ。 www.youtube.com 映…

無常 無情

『キャメラを抱いて走れ! 撮影監督 仙元誠三』【2022.6.25. 国書刊行会 刊】を読んだ。2年ほど前に亡くなった仙元誠三(1938.07.23~2020.03.01. 享年81)キャメラマンに親子ほど若い 山本俊輔(1975.~)と佐藤洋笑(1974.~)の二人がインタビューして作った本…

正統と異端 深浅 新鮮

正統と異端は主従の関係にあるわけじゃない。そう思ってる。 要は「深浅」であり、「新鮮」かどうかだ。 大通りの大店だって、ちゃちな底の浅い商品もあれば、裏通りの個店で結構な良品に出会うことだってある。歴史と伝統にあぐらをかいて、旧態依然・見て…

正統と異端 直球と変化球 

つむじ曲がりのひねくれ者は嫌いじゃない。ただし、芸の無いのは困る。 昨今は、お気に入りの映画は何度も見るものだそうだが、(好みの音楽CDを繰り返し愛聴するように)初見・一発・一回見ただけでスッキリスックリ理解できるのが一番だ。どこかもやもやし…

正統と異端 忠男と重臣

「今日、映画界は正統が総崩れの観があり、さまざまな異端やはぐれ者が流行して異端が異端でなくなってしまっている。」最近の発言じゃない。三十数年前に亡くなった佐藤重臣さんを偲んで佐藤忠男が書いた追悼文の一節だ。重臣さんはその昔『映画評論』とい…

全面是正 妄言多謝 (饅頭本)

少し前に「饅頭映画?」と題して「饅頭本」について書いた。やらかしちまった。失礼しました!!ここに全面是正します。 饅頭本は、「やたら豪華なつくりの記念本。盛られた上げ底 ヨイショ本。‥‥。あまり歓迎されない代物のようだ。非売品。売らない。とい…

クロサワ映画

クロサワ映画と聞けば、皆さん 今 何を思い浮かべるのだろう。 コッポラやスピルバーグ、ルーカスなどが称賛する黒澤明監督映画だろうか。 或いは、蓮實チルドレン=ホラーの黒沢清監督映画だろうか。 いえいえそれだけじゃない。 「文字通りの『クロサワ映画…

「誰だ それ」時代

若い衆と話していると知らない映画監督の名前が頻出する。一方で、オーソン・ウェルズ、とか、ジャン・ルノアールと言っても分からない。映画好きという人でも同じようなもの。コッポラ、ルーカスだって知らない。「誰だ、それ」と言われてしまうのがオチだ…

饅頭映画?

古本屋さんの世界には、「饅頭本:まんじゅうぼん」というのがあるそうだ。 かつて 葬式や祝い事などの席で配られるまんじゅう(葬式饅頭・紅白饅頭)にちなんで、「売るためではなく、故人の追悼や何かの記念のために作られた本」のことだ。 やたら豪華なつ…

岡村淳『忘れられない日本人移民』

暑さにかまけて、映画は見ないで映画にまつわる本ばかり読んでいる。なかでとても豊かな本に出合った。 岡本淳さんの『忘れられない日本人移民 ブラジルへ渡った記録映像作家の旅 』【2013.4.25. 港の人 刊】 カンのいい人ならピンと来るかも知れない。そう …

謹呈署名代 百壱萬圓也

相変わらず次々に新刊が出る小津本だが、「生前OZUがまだ〈神様〉になる前」(©中山信如さん:稲垣書店)に出た一冊に『お茶漬の味 他』がある。 野田高梧との共著。1952(S27)年 青山書院刊B6 362頁の自装本だ。 『晩春』『麦秋』『お茶漬の味』などのシナ…

『日本人の知らない日本語』シリーズ ピンク映画 篇

『日本人の知らない日本語』シリーズにはこんな記述もあった。 お国によって劣情刺激=わいせつエッチ=成人映画の呼び方は様々。 日本では、そう、「ピンク 映画」桃色 アメリカでは、アダルト映画は「Blue film(ブルー フィルム)」青色 中国では、「黄色…

『日本人の知らない日本語』シリーズ ミンボーの女 篇

『日本人の知らない日本語 4 海外篇』ヨーロッパの大学での見聞記。 1992年『ミンボーの女』 伊丹十三や宮本信子がこんなところで活躍してるなんて‥ちょっと 愉快。

『日本人の知らない日本語』シリーズ あ可よろし 篇

フランスから来た任侠映画マニアマダム・続編。 管理人も「名作」だと思ってます。

『日本人の知らない日本語』シリーズ 任侠マダム 篇

今日は、蛇蔵&海野凪子の『日本人の知らない日本語』シリーズ本【メディアファクトリー/KADOKAWA 2009~2013】から。 日本語学校の先生と外国人学生がくりひろげる日本語をめぐるドタバタ。知らないアレコレが見えてきて面白かった。 中から映画にまつわる…

久住昌之 讃 続(デビュー短編漫画「夜行」)

『孤独のグルメ』で久住昌之さんに触れたのがきっかけで、40年ぶりにデビュー作『夜行』のことを思い出した。(雑誌「ガロ」1981年1月号入選作として初掲載。当時タッグを組んでいた泉晴紀との連名ペンネーム「泉昌之」となっている)2年後には初短編集単行…

久住昌之 讃(店主 客)

『孤独のグルメ』は反(アンチ)グルメ漫画だ。全 32話。何でもない地べたの料理の話が並ぶなか、2話だけ料理より店主と客の話がある。店主のふるまいにキレて喧嘩になる第12話(カウンターの中 客の前で ことあるごとに外国人従業員=留学生?を怒鳴りつける…

上ネタ

上ネタといっても寿司ネタのことじゃない。 下ネタが、下半身・エロ話の類なら、上ネタというのは、上半身とりわけ口の話・食にまつわるアレコレだ。命名者は久住昌之さん。そう 漫画『孤独のグルメ』の原作者だ。(作画は谷口ジローさん) 久住さんはこう書…

特装本

新潮社には単行本の発行部数が10万部を突破すると、表紙が革の特装本を作って収納保存するそうだ。1956年刊行の三島由紀夫『金閣寺』に始まった伝統らしい。高度な技術で一冊一冊手作りで作られる。いまでは手掛ける職人さんはたった一人になってしまったと…

経済と科学技術

いつの時代にも、どんな社会でも、人間世界のあらゆる事象は、とどのつまりは、「お金」と「技術」の問題に行き着くのだろうか。 数とお金をどこまでどう意識して事に当たるのか、どこまでを算段して図面を描くのか、そのためにどんな技術を選んで身に着ける…

ペンネーム ハンドルネーム

ペンネームというのがある。昔々からある。実名を伏せて筆名で執筆した創作物。名のある作家であることが知られることもあれば、訳ありで秘した覆面作家というケースもある。人によっては、ジャンルや内容によって複数のペンネームを使う例もある。ラジオ投…