2ペンスの希望

映画言論活動中です

前を向くために…後ろを見る‥!

あれこれあって、一カ月余りも経っちゃった。お待たせしました。んっ?誰も待っちゃいないよ‥ですって。だよね。昭和老人の備忘録的与太話日記。どなたも何も期待されてなんかいない‥んなことは百も承知だ。 ただ、当ブログ 回顧録でも懐古自慢でもない、ど…

映画監督?映画作家?

「映画監督っていうのは職能なんだよ。つまり東宝の映画監督、松竹の映画監督みたくね。おれの時代、映画監督というのは映画会社に入社して演出部に配属されて助監督になって、試験を受けて監督へと昇進していくものなんだ。それ以外に『映画監督』になる方…

敬老割引

そうなんだよね、トム・クルーズ 御年61歳、ハリソン・フォード 御年81歳。トムの2022年公開の『トップガン マーヴェリック』は、1986年製作の『トップガン』から36年ぶりの続編。ハリソンの2023年夏のシリーズ第5作『インディ・ジョーンズと運命のダイアル…

著述業Kの『レビュー大全』

そうか、小谷野敦も還暦超えなのか。『レビュー大全』【2023年5月30日 読書人 刊】を見た。文字通り見ただけ。読んではいない。なにせ本文とあとがきで569頁 巻末索引が66頁もある。 2012年3月から2022年12月まで4000日にわたって読んだ本1764冊・見た映画・…

simple is best! 二択 四択 

映画の見方なんて十人十色、千差万別、様々。作り手の意図・狙い・思惑・工夫を超えてどんどん拡がりどんな解釈・楽しみ方をしようと勝手だ。好きな音楽を何度も何度も飽きずに楽しむように、くり返しみたくなる映画もたくさんある。 最近は、「一回見ただけ…

鈴木さんの丁半ばくち

アニメはほとんど見ないのだけれど、巧妙な事前広告戦略に乗せられてまんまと劇場に足を運んだ。都会の駅前シネコン、平日の夕方、304席の大箱、公開三週間目を過ぎて50%以上が埋まっていた。こんな入りのいい映画館は久しぶり。 鈴木敏夫プロデューサーの…

シアタードーナツ in 沖縄コザ

永年経営してきた名画座映画館が廃業するとニュースになる。健闘を称え惜別の思いが語られる。"また一つ街の文化の灯が消えていく"とかなんとか‥。 けれど、新しいスタイルのユニークな映画館が出来てもあまりニュースにはならない。採り上げられることは少…

これも あれも たぶん きっと ‥‥ 実は映画 実の映画

へぇ~ 知らなかった。 だって、そもそもタイトルからして『皆殺し映画通信 死んで貰います』なんだから、「駄目映画殺しの映画介錯人として活動してきた」と思って読んできた柳下毅一郎さんのシリーズ本だったけれど、「それは結果であって、目的ではない」…

映画本 三本立

暑いので映画館には行かず、映画本ばっかり読んでいる。 一番バッターは柳下記一郎(1963年生)『皆殺し映画通信 死んで貰います』【2023.5.10. カンゼン 刊】 冒頭にこうある。 「日本映画の底が抜けた、と言ったのは山根貞男氏(1939ー2023)だが、その山根氏…

いまさらながら

いまさらながら岡崎京子の文章を再認識した。『オカザキ・ジャーナル』【2015.1.10.平凡社 刊】 漫画は昔からパラパラ読んできた。けど文章は初めて。今は無き「朝日ジャーナル」1991年1月4日11日合併号~1992年5月29日号に「週刊オカザキジャーナル」として…

「シーズン3」

神戸の元町映画館が新しい試みに挑んでいる。支配人制を廃止して「みんな」で運営し、進化するミニシアター「シーズン3」だ。(灯台下暗し、地元民なのに最近まで知らなかった。)元町映画館の二代目支配人林未来さんが毎日新聞兵庫版に不定期連載されてい…

241/3672 617/1173

2023年7月31日に名古屋シネマテークが、2023年9月30日に京都みなみ会館が閉館する。ミニシアターの苦境・苦闘は続く。NHKテレビニュースによれば、「名古屋シネマテークの場合、年間700~800万円の赤字経営」だそうだ。ニュースではさらに『映画上映活動年鑑…

五感 丸ごと=全身性映画 時代へ

今日はいつにも増しての憎まれ口。もっとも当ブログ褒められたことは滅多にないし、そもそもが読者数も極小の隅っこ落ちこぼれブログなので何てことなく波風も立たないのははっきりしてるけど‥。 日本の映画は1980年代以降、半世紀にわたってモゴモゴむずむ…

「おうちごはん」

伊野孝行×南伸坊の本『いい絵だな』へー知らなかったという発見 そのニ:「おうちごはん」 * ⁑ ⁂ 伸坊 鶴見俊輔さんの『限界芸術』では、玄人が玄人に向けて作るのが「純粋芸術」で、玄人が素人に向けて作るのが「大衆芸術」。それだけじゃなくて「限界芸術…

書き込みすぎない「テキトー」隙間

伊野孝行×南伸坊の本『いい絵だな』【2022.10.10. 集英社インターナショナル 刊】を読んだ。 かたや 1971年生まれ 長沢節のセツ・モードセミナー出身 こなた 1947年生まれ、美学校赤瀬川原平に学ぶ。齢の差24のWeb連載対談集だ。師匠たちとは時代も社会も異…

ヌーヴェルヴァーグとシュルレアリスム

フランスに生まれたヌーヴェルヴァーグとシュルレアリスムは、ともに、一時代の手法・技法、一時的な流行・運動、一過性の流派・ファッションスタイルなどではなく、ひとつのイズム・主義・主張、生き方・考え方・作り方の構え、一貫した姿勢・精神のことな…

日本の映画=流行歌 仮説(架設)

少し間、『にほんのうた』になぞらえて映画のことを書いた。 過去に未来が透けて見える - 2ペンスの希望 やっぱり、あらためて思う。 映画は「一般に思われているほど単純でもなければ、熱心な研究者が評価するほど高尚なものでもない。」(©北中正和) そも…

荒木正也プロデューサー肆 因果 因縁

『映画プロデューサー荒木正也 映画の香気 私のシネマパラダイス』【2022.1013. Echelle-1 刊】その肆は、難産続きの『東京裁判』製作エピソード 二つ。 因果:ナレ録り二十五回 「編集がある程度進むと、並行してナレーションどりが行われます。 ナレーショ…

荒木正也プロデューサー参 構造と造作

『映画プロデューサー荒木正也 映画の香気 私のシネマパラダイス』【2022.1013. Echelle-1 刊】から その参:構造と造作 脚本は映画の「骨組み」=構造だ。演出・監督は骨組みをもとに細部まで技を駆使してこしらえる造作技術職である。達者に両方をこなす人…

荒木正也プロデューサー弐 後進の道

『映画プロデューサー荒木正也 映画の香気 私のシネマパラダイス』【2022.1013. Echelle-1 刊】 荒木正也 その弐:後進の道 「木下さんは、やや女性的なやさしい話し方をなさる方でした。世間の評判も女性的な感覚ということで受け止められていましたが、実…

荒木正也プロデューサー壱 距離

また一人、真正映画人だったと思しき御仁を知った。荒木正也プロデューサー。 昭和29年松竹入社10年で退社、博報堂に途中入社、紆余曲折あって荒木事務所を立ち上げ、何本かの映画を手掛け、卒寿に『映画プロデューサー荒木正也 映画の香気 私のシネマパラダ…

小川哲さんの小説『君のクイズ』

直木賞作家小川哲さんの小説『君のクイズ』【2022.10.30. 朝日新聞出版 刊】を読んだ。 アメトーークで採り上げられたり2023本屋大賞にノミネートされたり、第76回日本推理作家協会賞を受賞したりと賑やかな小説だ。 いやぁ、面白かった。謎解きミステリー仕…

考察?

倍速・早送り視聴の一方で、気に入った(気になった?)映画を何回も繰り返しみる人が増えているそうだ。お気に入りの音楽アルバムを楽しむようにならいいのだが、一回見ただけでは作り手たちの深い意味・狙いが解らず、理解が覚束ないので何度も見て「考察…

凄いけど なんだかなぁ~

チコちゃんの着ぐるみとCGに感心していたら、年若い知人にこんなのを教えられた。 2008 - “Huy, ese cielo seguro que es un chroma.”2020 - 🤯: pic.twitter.com/4z3wFZCXuZ — Otto Más 🎙️ (@Otto_Mas) 2020年6月18日 確かに‥演技も技術も凄い。 けど、なんだ…

「映画館というより映写室」

「毎日、映画を見ている。月曜日から金曜日までは、試写を二本ずつ見る。‥(中略)‥ おまけに、土曜、日曜にも街の映画館にいったりする。 また、冬と夏はどちらも二ヵ月ぐらい、外国の町にいるのだが、その町の映画館でやってる映画はみんな見る。ただし、は…

「われわれは終わった後を生きている」という気分

映画がお好きな大学の先生やアーティストはゴマンといる。そういった先生方・芸術家諸氏の映画にまつわる本もゴマンと出ている。きっと部数が読めてそこそこ売れる目算が立つのだろう。 『ドライブ・マイ・カー』論【2023.4.10.慶応義塾大学出版会 刊】 残念…

「そっちにいかないで」

『青山真治アンフィニッシュドワークス』【2023.3.30. 樋口泰人+松村正人=編 河出書房新社 刊】を読んだ。 正直 青山真治の映画はあまり感心したことがない。肌が合わなかった。ただ、蓮實学校卒業生の中では早めの売れっ子だったことは承知している。後進…

過去に未来が透けて見える

仔細あって、大昔友人が書いた本『にほんのうた 戦後歌謡曲史』【北中正和 1995.9.1.新潮文庫】を引っ張りだして再読した。 「あとがき」の文章なんてすっかり忘れていたけれど、四半世紀ぶりに読み返したら、いたく胸に沁みた。断りなしに引用してみる。い…

斎藤環:映画機能主義者

斎藤環の『映画のまなざし転移』【2023.2.22. 青土社 刊】を読んだ。『キネマ旬報』誌に十年以上にわたって隔号連載した記事を中心にまとめたものだ。 前回の太田和彦とは180度違うがこれまた年季の入った映画愛好家である。本業は(ご承知のことだろうが)…

太田和彦『映画、幸福への招待』

太田和彦さんの『映画、幸福への招待』【2023.2.10. 晶文社 刊】を読んだ。 居酒屋探訪でつとに有名だが、無類の映画好きだとは初めて知った(面目ない)。管理人より2年先輩、映画体験はどっぷり重なる。懐かしい名前が続々ゴロゴロ出てくる。 帯には、「…