2ペンスの希望

映画言論活動中です

2014-01-01から1年間の記事一覧

「ルールはない、自由だ」

「分(ぶ・ぶん)」とか「実(じつ)」とか「雑(ざつ)」とか 書いてみたい映画の成分はまだ幾つかある。けど、一旦休止。「文学は、言葉を通じて読者の想像力をある像へと導くが、映画の場合は道筋が逆。 まずはじめに具体像の提示があり、その具体像をよ…

体(てい)

映画の組成・成分その4に挙げるのは、「体(てい)」。 体(てい)をなすの体である。 体をなしていないものを見せられるのは、かなわない。醜い。ご当人たちは頑張っているつもりかもしれないが、見た目気にせずなりふり構わずでは、不味い。いただけない。…

場・現場・臨場

映画の組成・成分その3は、「場」について。 場。映画の現場。現場がすべて。 映画は、結局「目の前の物を映すこと」なのだ。 現場に調達されたもの・用意されたもので勝負するしかない。 ないものは映せない。 あるもので作る。 そう思ってやってきた。 つまり…

距離

映画は距離だ。そう思う。 見ることは、何がしかの距離を置くことに他ならない。空間も時間も‥、 ときに遠く、ときに近く‥。 見ることと見られること。向う側とこちら側。彼岸と此岸。その隔たりは決定的だ。 映画館で臨場感に包まれながらもスクリーン(モニ…

切(せつ)

映画の成分・要素・組成について考えている。 昨日浮かんだ、「切(せつ)」は、そのひとつのつもり。 切(せつ)とは、切実であり、大切。やむにやまれなぬ想い、のっぴきならない事情。 切(せつ)‥切実 切迫 切羽 切々 切望 切願 切に願う、 大切 哀切 痛…

何をいまさら

映画の善し悪し、落差ってなんだろう、と考えている。 何をいまさら、と言われそうだが、人は何故映画を見るのだろう。 何十年も見てきて今も映画を見るといつも、何がしか共感できるものを探している。 登場人物のあれこれなり、物語の世界観なり、作り手の…

余計と余白

立て続けに二本、邦画を観た。といってもDVD鑑賞だが。 いやぁ、出来の差が酷かった。(例によって、題名は伏せる。) 一本は、自身の戦争体験を元にした超ベテラン監督の反戦映画。 2011年国内の映画賞を総なめした「話題作」。 もう一本は、続々映画化…

本物以上

昨日の続き。【『こども映画教室のすすめ』2014年5月 春秋社刊より】 羽仁進の発言をふまえた是枝裕和のかえし。 「(隠し撮りで)カメラを意識していない姿が撮れることよりも、(そこにカメラがいることで)引き出されるものの方が実はすごく大切だという感…

イメージが外へ出てゆく瞬間

『こども映画教室のすすめ』という本を読んだ。【2014年5月 春秋社刊】 はっきり申し上げて、大半は「幼稚」な内容だった。(幼稚だからダメだ、と言ってるわけじゃない。子供たちに「映画」を教えていくためには、「幼稚園」も必要なのだろうから。 けど、曲がり…

『日本の忘れ物』

5年前に企画を手伝った映画が、大阪九条のミニシアターで初めて劇場公開されるというので、いそいそと出かけてきた。 T監督の『日本の忘れ物〜塩飽諸島本島ものがたり』(2009年 72分)。 映画館は、シネ・ヌーヴォX。日曜日夜7時からの上映スタート故もあ…

ベルモンド

もう一人、フランスのJ・P・ベルモンドも好きだった。 1959年『勝手にしやがれ』(原題:「息切れ」)この邦訳が当時新外映に居た秦早穂子さんの命名=クリーン・ヒットであることは以前書いたとおりだ。 【http://d.hatena.ne.jp/kobe-yama/20130305/136…

ニューマン

アメリカ映画のご贔屓は、ポール・ニューマンだった。 1961年製作1962年日本公開 ロバート・ロッセン製作・脚本・監督『ハスラー』 相手役も助演陣も文句無し、丁寧に作られた一篇。 背景がレモンイエロー色のポスターというのも当時としては斬新だった。 あ…

チブルスキー2

チブルスキーをもう一本。1959年製作 イエジー・カヴァレロヴィッチ『夜行列車』(原題:Pociąg )から。 www.youtube.com つげ義春が、この映画を下敷きに1964年に『見知らぬ人々』という漫画を描いている。つげファンには知られた話だ。

チブルスキー1

お気に入りだった男優さんといえば、やはりいの一番に 浮かぶのは、スビグニエフ・チブルスキー。 誰?それ、という人も多いだろう。 「ポーランドのジェームス・ディーン」と言われたって、 ご本家・ジェームス・ディーンもご存じなかろうゆえ、 どうしようもな…

昔の山脈

昔作られた映画は、製作当時の時代背景・社会情勢に制約を受けるので、瑞々しさが失われ経年劣化するという意見がある。 賞味期限切れ。時代遅れ、お笑い種、失笑もの。ポンコツ。 一方で、時代にそぐわなくなった流行や風俗が自然漂白されて生臭いアクが抜け…

幼児性!

新作の何が駄目かって、第一は舌っ足らず、だ。前後の辻褄があわないご都合主義・意味不明・曖昧模糊の垂れ流しでは箸も進まない。いただけない。野心満々の創作料理だって、不味いものは拙い。「自由な感性」とか「自分の言葉」がいくらゆるされるからって、…

胃袋退縮?

困ったことである。どうしても新作映画に食指が動かない。映画館に足を運ぶのが億劫になっている。それよりもレンタルショップの在庫検索に目が行く。1000円と100円という差もある。コスパが違いすぎる。しかしそれ以上に、砂漠で仁丹を探すような徒労感に襲…

続「フリッカー」

昨日に続いて、セオドア・ローザック『フリッカー、あるいは映画の魔』から。 「映画は人類の所産にあって、もっともデリケートなものである。紙片や羊皮紙はわりと安価に償えるし、彫刻なら数世紀、建築物なら千年は生き長らえる。しかし、映画がかろうじてし…

「フリッカー」

セオドア・ローザックの『フリッカー、あるいは映画の魔』を読んでいる。【1998年6月文藝春秋刊】ミステリファンや映画ファンの間ではつとに知られてきた小説、上下ニ段組、本文561ページの長編大作だ。本線の物語よりも、間に挟まれる映画と映画界に対する…

技術は進化する

ちょっとした事情があって、那須田淳さんの小説『星空ロック』を読んだ。 2014年夏第60回青少年読書感想文全国コンクール中学校の部課題図書だ。 中に、明治時代留学先のドイツで純正調オルガンを発明した田中正平さんのエピソード(実話)が登場する。ピアノ…

「店番をしながら書くことについて」

藤谷治『こうして書いていく』引用シリーズ(=ラクチン手抜きバージョン) 四つ目 「店番をしながら書くことについて」から。 「私は自分の本屋を持ち、その本棚の後ろ側に空間を作って、そこで書いている。 (中略) 芸術とは同時に矛盾した二面を持つもので…

「小説なんか誰にだって書けるんだが‥‥」つづき

藤谷治『こうして書いていく』引用シリーズ(=ラクチン手抜きバージョン) 三つ目のつづき 「小説なんか誰にだって書けるんだが‥‥」から。 「つまり、できるだけ小さなイメージなり文章から始めるのである。ほかのことは一切 スタートラインに立たせない。「…

「小説なんか誰にだって書けるんだが‥‥」

藤谷治『こうして書いていく』引用シリーズ(=ラクチン手抜きバージョン) 三つ目 「小説なんか誰にだって書けるんだが‥‥」から。 「つまるところ小説を書くには、ずっと座っているしかない。 ずっと座っていても書けない、という話をよく聞くが、それは単…

「すべて読め」

藤谷治『こうして書いていく』引用シリーズ(=ラクチン手抜きバージョン) 二つ目 「すべて読め」から。 「相当な読書家であると、自他共に認める人もいるだろう。それでは足りない、 (中略)どっちかといえば読んでいる方だとか、読むべきものは読んでいると…

「根本から励ます」

藤谷治『こうして書いていく』からの引用シリーズ(=ラクチン手抜きバージョン) まずは「文学と地面―まえがきにかえて」から。 「文学は人間の脆さに関わる芸術である。文学は社会の発展に寄与しない(思想的な示唆を、若干与えようとすればできないことも…

「道具は道具」

昨日記録媒体の変遷について書いたら、今日読み始めた本に「デジタル・ジレンマ」という言葉が出てきた。藤谷治さんの『こうして書いていく』【大修館書店2013年11月 刊】冒頭「文学と地面―まえがきにかえて」の一節。 「映像なり文書なりを、デジタルなデータと…

記録媒体変遷

高校時代に8mmフィルムを廻したのが始まりだった。 その後、仕事で関わってきた映像記録メディアの変遷のあらましを‥思い出すまま。 8mm 16mm 35mm 以上フィルム‥オートスライドというのもあった。 ビデオテープになってからは、Uマチック(3/4イン…

真逆

若い頃と今では、考え方が180度変わってしまったことが幾つかある。 暫く前に或る映画のために纏めていたメモが出てきた。 ブログでも何度か書いてきた項目もあるが、再録してみる。昔 今 みんな一緒 みんな違う ひとつになる 違うことを認め お互いを尊…

本『七日じゃ映画は撮れません』

真藤順丈さんの『七日じゃ映画は撮れません』という小説を読んだ。【2014年3月10日実業之日本社刊】1977年生まれ ダヴィンチ文学賞などを受賞しているらしいが、初めて読んだ。題名の「七日」は旧約聖書「創世記」の天地創造を意識したものだった。…

10代の映画祭

東京渋谷のアップリンク・ファクトリーでこんな催しをやるらしい。 『10代の映画祭 見せつけろ、10代の表現力。』 2014年8月10日(日曜日)一日だけの開催だ。 16歳の高校生・安藤勇作くんのインタビューを読んだ。 ⇒http://www.webdice.jp/dice/detail/432…